僕の生存日記 第9話:偽装ラバーズ
僕、『川野辺 葉乃』と『千羽 緋路』は『今池 輝也』君の意外な姿を目撃してしまい、尾行中。
『神成 躍人』はどうしてるか知らないけど、今回、『黒井 姫』さんの出番はなさそうだ。
彼らが向かったのは、体育館の裏だった。
「あ、あの、ごめんなさい。お待たせして……」
琴音さんが言う。
その相手は、体を震わせながら琴音さんだけをじーっと見ている――なんだか、やばそうな雰囲気の男だった。
「琴音……? そいつは、誰だ……?」
男が訊く。鼻息は荒く、今池君をちらりと見た目つきはとても鋭かった。
「え、えっと…………」
「わかるだろ? 俺の琴音に手を出さないでほしいんだよね」
今池君ははっきりとそう言った。いつもと違う雰囲気(いや、最初から男に対してはそうだった気もするけど――最近、今池君に男扱いされてないから、すっかり忘れていたこの感じ――って、男扱いされてないとか……自分で考えてちょっと凹んできた)だ。男を睨んでいる。
「――な……。………………るな……」
男がなにかブツブツと呟いている。
その声はどんどん大きくなり――
「――ふざけるな……。ふざけるな!!!!」
突然声を荒げた。思わず、こっちまでびくりと体が震える。
男は琴音さんの両肩を力強く掴んで声を上げ続けた。
「浮気か? 違うよな? 俺のこと、好きだろ? 好きなんだろ? おまえは俺のものだろ? こんな男、おまえを幸せにできるはずがない」
「い、痛っ……!」
琴音さんは涙目になっている。
って、おいおい。これ、やばくないか?
ど、どうしよう。僕達にできることって、なにかあるかな? あ、先生呼んできた方がいいかな!?
そんな風にこっちが焦っている間にも、男はまだ喋り続けている。
「あぁ。そうだ。困ってるんだろ? 本当は、この男に付きまとわれて困ってるんだろ? そうか。俺に助けてもらいたかったんだな。大丈夫だ。俺が傍にいる。ずっと一緒だ。こいつが死ねば、問題ないさ。大丈夫だ。琴音が怖がることはなにもない」
超こえぇ――――――――!!!!
目つきはもうイっちゃってるし、どう考えても、普通の人じゃない! こんな怖い人がこの学校にいたんだね! ヤクザみたいな神成先輩とは別のベクトルで普通の人じゃない怖い!!
男は今池君の方を振り返ると、胸ポケットからナイフを取り出し――
――って、これ、マジでヤバイ!!!!
「千羽! 先生呼びに行くぞ!」
「お、おぅ。そうだな!」
僕達は猛ダッシュで校舎へと駆け込んだ。と、その時!
「お! 川野辺クンに、千羽クン。丁度いいところに!」
焦る僕らに、場違いな明るい声を声をかけてきたのは――
「か、神成先輩……!!!!」
ナイスタイミングだった。
そうだ。神成先輩に助けてもらえばいい! どう見てもヤクザな男が出てきたら、きっとあの男も思いとどまってくれるはずだ!
早くしないと、今池君が危ない!
「うわぁぁーん! 神成先輩!!」
もう半泣きで縋りついた。
そんな僕の様子に、神成先輩も慌てたようだ。
「一体どうしたんだ!? なにがあった!!??」
――こんな風貌しているけど、なんだかんだ言って、先輩は優しかった。
僕は必死になって訴えた。
「今池君が、殺される!!!!」
「――……なに?」
僕、『川野辺 葉乃』と『千羽 緋路』は『今池 輝也』君の意外な姿を目撃してしまい、尾行中。
『神成 躍人』はどうしてるか知らないけど、今回、『黒井 姫』さんの出番はなさそうだ。
彼らが向かったのは、体育館の裏だった。
「あ、あの、ごめんなさい。お待たせして……」
琴音さんが言う。
その相手は、体を震わせながら琴音さんだけをじーっと見ている――なんだか、やばそうな雰囲気の男だった。
「琴音……? そいつは、誰だ……?」
男が訊く。鼻息は荒く、今池君をちらりと見た目つきはとても鋭かった。
「え、えっと…………」
「わかるだろ? 俺の琴音に手を出さないでほしいんだよね」
今池君ははっきりとそう言った。いつもと違う雰囲気(いや、最初から男に対してはそうだった気もするけど――最近、今池君に男扱いされてないから、すっかり忘れていたこの感じ――って、男扱いされてないとか……自分で考えてちょっと凹んできた)だ。男を睨んでいる。
「――な……。………………るな……」
男がなにかブツブツと呟いている。
その声はどんどん大きくなり――
「――ふざけるな……。ふざけるな!!!!」
突然声を荒げた。思わず、こっちまでびくりと体が震える。
男は琴音さんの両肩を力強く掴んで声を上げ続けた。
「浮気か? 違うよな? 俺のこと、好きだろ? 好きなんだろ? おまえは俺のものだろ? こんな男、おまえを幸せにできるはずがない」
「い、痛っ……!」
琴音さんは涙目になっている。
って、おいおい。これ、やばくないか?
ど、どうしよう。僕達にできることって、なにかあるかな? あ、先生呼んできた方がいいかな!?
そんな風にこっちが焦っている間にも、男はまだ喋り続けている。
「あぁ。そうだ。困ってるんだろ? 本当は、この男に付きまとわれて困ってるんだろ? そうか。俺に助けてもらいたかったんだな。大丈夫だ。俺が傍にいる。ずっと一緒だ。こいつが死ねば、問題ないさ。大丈夫だ。琴音が怖がることはなにもない」
超こえぇ――――――――!!!!
目つきはもうイっちゃってるし、どう考えても、普通の人じゃない! こんな怖い人がこの学校にいたんだね! ヤクザみたいな神成先輩とは別のベクトルで普通の人じゃない怖い!!
男は今池君の方を振り返ると、胸ポケットからナイフを取り出し――
――って、これ、マジでヤバイ!!!!
「千羽! 先生呼びに行くぞ!」
「お、おぅ。そうだな!」
僕達は猛ダッシュで校舎へと駆け込んだ。と、その時!
「お! 川野辺クンに、千羽クン。丁度いいところに!」
焦る僕らに、場違いな明るい声を声をかけてきたのは――
「か、神成先輩……!!!!」
ナイスタイミングだった。
そうだ。神成先輩に助けてもらえばいい! どう見てもヤクザな男が出てきたら、きっとあの男も思いとどまってくれるはずだ!
早くしないと、今池君が危ない!
「うわぁぁーん! 神成先輩!!」
もう半泣きで縋りついた。
そんな僕の様子に、神成先輩も慌てたようだ。
「一体どうしたんだ!? なにがあった!!??」
――こんな風貌しているけど、なんだかんだ言って、先輩は優しかった。
僕は必死になって訴えた。
「今池君が、殺される!!!!」
「――……なに?」