僕の生存日記   番外編1:葉乃ずきんちゃん

 昔々あるところに、葉乃ずきんちゃんというたいへんかわいらしい ×女の子 → ○男の子 が住んでいました。
 ある日、葉乃はヤクザのお母さん(男)に用事を言いつけられました。
「おい。お前、これを持って、ばーさんと言う名のイケメンのとこにお見舞いに行きな」
 それ、全然ばーさんじゃないよね。と思いつつも、葉乃ずきんちゃんは言われたとおり、バスケットに入ったパンとぶどうジュースを持って、イケメンばーさんのお見舞いへと向かいます。
 途中、怖い怖い狼が待っているとも知らずに……

 イケメンばーさんの家へ向かって、森の中を歩いていると、木の陰からひょっこり変態狼さんが顔を出しました。
「って、別に変態じゃないぞ!!!!」
「……えーっと、千羽……狼さん。何かごようですか?」
 あまり関わりたくないと思いつつ、恐る恐る声をかけてみる葉乃ずきんちゃん。
「愛しの葉乃に会いに来た!!!!」
 葉乃ずきんちゃんは無視をしてイケメンばーさんの家へ向かいます。
「あぁっ!!葉乃、ひどい!でも、そんなお前でも好きだぜ!!」
 変態狼さんが叫びますが、葉乃ずきんちゃん、完全無視です。
 葉乃ずきんちゃんの後ろ姿を見て、イケメンばーさんへの嫉妬に燃える変態狼さんはよからぬことを企てておりました……

 葉乃ずきんちゃん、無事にイケメンばーさんの家へと辿り着きました。
「まさかあの後、流れてきた桃から生まれた花を咲かせる熊との相撲に勝ったと思ったら泥舟に乗せられて竜宮城に連れて行かれた挙句に山姥に追いかけられるとは思わなかったぜ……」
 すぐに着いたのかと思ったら、意外と時間のかかっていた葉乃ずきんちゃん。
「さてと。気を取り直して……」
 ごほんと咳払いをして、葉乃ずきんちゃんはイケメンばーさんの家の扉を開けました。
「おばーちゃん。お見舞いに来たよ」
 そして、中を見て絶句。

「誰がてめーに食われるか!きめぇよ!!」

「俺だってお前なんか食べたくないわー!食べるなら葉乃に決まってんだろ!!!!」

 なぜか、イケメンばーさんと変態狼さんがケンカをしていました。
「な、な、な、何やってるのかなー……?」
 恐る恐る尋ねてみると、2人は言いました。
「こいつが俺のこと食おうとしてんだ!」
「気持ち悪いこと言うな!葉乃に看病してもらってあわよくばげふんげふんの為に消えてもらおうと思っただけだ!俺だって葉乃以外お断りだ!」
「俺だって女の子以外ありえねーよ!!」
 葉乃ずきんちゃんは頭が痛くなり思わずよろけつつも、ヤクザのお母さん(男)の言いつけどおりに渡されたお土産だけでも……と、バスケットをテーブルに置くと言いました。
「あ、あの、病気のはずのイケメンばーさんも元気みたいだし……僕、頭が痛くなってきたからこの辺で……」
「なななななな何――――――――!?」
「大丈夫かい、葉乃ちゃん?」
 葉乃ずきんちゃんの言葉に、2人が大袈裟に叫びます。
「いや、別に、この場から早く撤退すれば大丈夫…………」
 そんな言葉など2人の耳には届きません。
「おい、お前、ベッド開けろ!葉乃を休ませるんだ!」
「当たり前だろ!葉乃ちゃんなら大歓迎さ」
「え?え?ちょwwww」
 変態狼さんにお姫様抱っこでベッドに運ばれる葉乃ずきんちゃん。
 ベッドに強制的に寝かされると、次は、妙な沈黙が続きました。
「あ、あ、あの、せ……んば…………??ι」
 嫌ーな予感が葉乃ずきんちゃんを包み込みます。
 葉乃 in ベッド。ベッドに寝かせたのが変態狼こと千羽なので、上に覆い被さる形でいるわけで。その横にはイケメンばーさんこと今池輝也。
「葉乃…………もう我慢でk」
「※▲☆@*&%#¥×〜〜〜〜〜〜!?(涙)」

 以下、自主規制。
 ミナサマノゴソウゾウニオマカセイタシマス……



「アッー!!」



 その頃……
 すっかり忘れ去られていた姫狩人は、森の中を気持ち良さそうに散歩しておりました。
「何か獣の声なのか叫び声なのかよく分からない声が聴こえます〜……今日も平和ですねぇ」