僕の生存日記   番外編2:事件は遊園地裏で起こしてた(第6話裏)

 俺、『千羽 緋路』が、愛しの『川野辺 葉乃』へ遊園地の無料チケットを渡したのがこれ(1ページ前)までのお話。
 まだ出てきてないサブキャラは『神成 躍人』、『黒井 姫』、『今池 輝也』なんかがいる。

 俺の計画の第一段階は終了した。
 あとは、葉乃が上手く黒井姫を誘って遊園地へ行けば――。

「あれ? えーっと……千羽くん〜」
 突然背後から呼びかける声。
 誰かと思って振り返ると、なんとそこには。
「黒井さん!?」
 葉乃が誘わなければならない相手――黒井姫がいるじゃないか。
「黒井さん、どうしてここに……!?」
「ちょっと忘れ物取りに来たんです〜。千羽くんはどうしたんですかぁ?」
 おぉ。そういえば、ここは葉乃のクラスであって、俺のクラスではなかった。
 だが、これは丁度いい。
 幸い葉乃はまだ教室を出て行ったばかり。ここで黒井姫に葉乃を追いかけさせれば、週末にでも計画は実行出来そうだ――。
 俺はにこっと笑って、
「葉乃と話してたんだ。葉乃はどうやら黒井さんを探してたみたいだけど?」
「え? 川野辺くんがですか〜? ……そうでした、私も川野辺くんを探さなきゃだったのでした。どちらへ行ったか知ってますか〜?」
 一人で考え込んだかと思うと、今度は俺に向かってそんなことを訊いてくる黒井姫。
 なんだ、なんであんたも葉乃を探してるんだ。
 ――なんて気になるところだが、とりあえず葉乃と会わせなきゃいけないので、正直に玄関の方を指す。
「ありがとうございます〜」
 黒井姫は頭をぺこりと下げると、小走りで葉乃を追いかけて行った。

「さてと、後は計画を詰めるだけだな」
 俺が誰もいない教室で1人呟いたその瞬間。
「何の話だ?」
「そりゃー、葉乃に黒井姫を幻滅させる計画を――…………って、うわああああぁぁぁぁぁぁ!!!!????」
「なんだっ!?」
 背後から突然声をかけられたので、思わず驚いてしまい……俺は尻餅をついてしまった。
 振り返ると、神成躍人が、そこにはいた。
「な、か、神成……先輩……っ! どうしてここに!?」
 焦りながらも、体勢を立て直して言った。
「いやー、全然部活できてなかったからな。いい加減に始めようかと思ったわけだ」
「葉乃ならもう帰りましたよ!」
 その言葉にとんでもない殺気を放つ神成躍人。
「のぁんだとぅおぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜?」
「ぶ、部活は明日からで、いいんじゃないですかね!?」
 神成躍人はキッと俺を睨むと、
「いいや、今日じゃなきゃ駄目なのだ。今日の星占いで言われたのだ。誰かの恋路の邪魔をすると1等賞☆ だと。だから今日は恋の悪魔部なのだ」
 ――なに、そのひどい内容にひどいネーミング……。
 いやいや、だがしかし、これは丁度いい。
「……そうですか。しかし、葉乃がいなくても部活はできますよ。一緒に部活動しましょう」
「ほう? で、具体的になにかいい案でもあるのかね?」
 俺はにやりと笑った。
 こいつが仲間になったら――まぁたいして力にはならないかもしれないが、計画を進めやすくなるかもしれない。
「実は、葉乃が女の子と恋仲になりたいそうで。その恋路を邪魔してやろうかと思ってるんです」
 正直に話すと、神成躍人は少し考え込むような表情になった。
「ふむ……、川野辺クンの恋路の邪魔か……。しかし、さすがにかわいそうではないか? 親友なのだろう?」
 うっ……。変な星占いを信じるくせに、マトモなことを……。
 しかし、俺は負けじと答えた。
「それは、そうですけど。しかし、葉乃がフラれて傷付くかもしれない――そう、彼のためを想ってのことなんですよ!」
「そういうものか? 邪魔をすれば結局傷付くような気もするのだが」
 くそ、意外としつこいな。だったらこうだ!
「それがですね、実は彼の恋愛運が今月最悪で。このままだとフラれてしまうんですよ!」
 この言葉はさすがに効いたようで、神成躍人は目を丸くして言った。
「なに!? それはいかんな。よし、じゃあ川野辺クンのためだ。邪魔をしようではないか!」
 よしっ! これでこいつのことは問題ない。
 俺は心の中でガッツポーズをして、さっそく計画を話し始めた。
「それで、すでに計画が立ててあってですね……。協力していただけますね?」
「おぉ。いくらでも力になろう!」
 その日は最終下校時刻ギリギリまで計画を練って終わった。