エンタメクラブ   Act.6:君は太陽

 ガララララ!
「ドッキリ成功――――!」
「…………へ?」
 大きな音と、そしてトーンの高い声と共に、とつぜん瞼の裏が明るくなった。
 ――ん? 今、なんて言った…………?
 私は恐る恐る目を開けた。
 明るくなった部室。そして、私の眼前にあったのは、さきほどの赤く染まった少女の顔――
「ひっ!!」
 ――って……あ、あれ? なんか、見覚えが……?
「か、華藤、さん……?」
「そうだよぉ〜♪」
 それはよく見ればなんと、幽霊でもなんでもなく華藤さんだったのだ。
「な、なに、その、かっこ……」
「あー、この赤? 絵の具だよぉ」
「絵の具……」
「あはははは! ドッキリ成功だぜ!」
「ごめんなさいね……」
 先ほどの大きな音は扉を開けた音のようだった。こちらに入ってきていたのは松と茜さんだ。
「え? ていうか、扉……。え……?」
「外から鍵掛けさせてもらったぜ!」
「背後から押したのも私達です」
「え? え? なんで? え??」
 ――え? なに、ドユコト?
 まったく話についていけない……。
 目をぱちくりしながら周りの様子を見ていた。混乱している頭は未だ事態を飲み込むことができないでいる。
「その前に――お2人さん、いつまでそうやってくっついてるの?」
「――へ?」
 華藤さんに言われて気付いた。言い換えれば、それまでまったく気付けなかった。
 それはまるで私を守るかのように、力強く森に抱き締められていた。
「――――……………………ッ!!」
 私を抱き締めていたその腕を慌てて放す森。
 私もおもわずその場から飛び退いてしまう。今度は、私の顔が真っ赤になっていた。森の顔は――恥ずかしくて、見れない……。
「おアツイねぇ〜♪」
 心底楽しそうに言う華藤さん。
 ――こっちは、恥ずかしさで蒸発しそうだよ! もう本当、湯気でも出てるんじゃないかってくらいに顔が熱いよ!
 うぅ、なんで、こんな……嬉しいけど、みんなに見られたし、恥ずかしい……。恥ずかしい、恥ずかしい!
 さらに混乱を極めた頭は、現状を把握するのにずいぶんと時間を要したのだった。