グローリ・ワーカ   第15章:再び魔王城へ

「――……とまぁ、そんなこたぁさておき……」
「そーですねぇー。おバカなマネはこの辺までにしといた方がいーっすね」
「だぁ。ア、アルト……ちゃん……」
 マニュアは心に10のダメージ。
「まぁ、とりあえず……、どーすんだ?」
「やっぱり、この張り紙どーりがいいってことぉ?」
「そーだな。こいつがいい例だ」
 びしっと親指でマニュアを差すヤン。マニュアが力なく笑った。
「アハ、アハハハ……」
 切ない。
 とりあえず、みんなの意見はまとまったようだが――。
「で、2人1組ってこと!?」
「ど、どーすんだよ……」
「フフフー。こんなときは、くじ引きっっ!!!!」
「「「「「「「「く、くじ引きぃっ!!??」」」」」」」」
 マニュアの唐突な提案に、また驚くみんな。ちなみに前回の唐突な提案は着ぐるみ事件ですね。
「――……ほ、本気で……?」
「そ、本気で。これが1番いい方法だよ。文句もないだろうし。男女まぜこぜだけど……」
「ちょっと待て。1番いい方法なら、職業や能力考えて決めた方がいいんじゃないのか?」
 ヤンがまともな提案をする。
「さて、さっそくこちらにくじを作ってあります」
「聞けぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
 ヤンの意見をよそに、強引なマニュアはくじの入った箱をみんなに向けた。
「さ、みなさん。このくじを引いてくださいナ」
「おい!」
(仕組まれてる!? なんだか騙されてるような気分っ!!)
「本当に、いつに間にくじを……」
「フフフゥ。なんにも気にしない気にしない。あ、同じ番号の人とペアねー」
 ヤンのツッコミも、アリスの不安も、アルトの疑問も、半ば無視して無理矢理くじ引きを始めた。

 結果――……。
 以後、みんなの反応(セリフ)のみでお送りします。
「やらなきゃよかったあぁぁ〜〜っ!!」
「ピ、ピピュウ、ピピュ……!?」
「えーっと……。う〜ん……」
「き、却下っ! ヤメよーゼッ!!」
「や、やっぱ、そー思うっ!? だよねっ!! よしっ! やり直し決て――」
「ちょっと待てっ!! ホワイト! 別にいーじゃねーかっ!」
「ス、ストームッ!! その……。私も、なんかなぁ……」
「なんでだよ、アルトッ!! おまえ、俺のこと、そんなに嫌いかああっ!?」
「え!? え、えっと、そのォ……」
「――――……。私も、やり直したい!」
「だよねー。ティルちゃーんっ!」
「お、俺は、別に――……」
「わ、私もー……。い、意外だなぁ……」
「アハハ。別にどっちでもいーやっ」
「ねぇ……。どっちでもいーよねっ」
 これで、組み合わせがわかった人はなかなか素晴らしい。
 マニュア&ピュウ、ニール&ティル、ストーム&アルト、ヤン&アリス、スリム&ヒナとなりました。
「ち、ちょっと待って!! 決定……っ!?」
 自分で言い出したんでしょーに……。
 行け行けGOGO!! みんなが君たちを待っているぅっ!!
「な、なんだソリャ〜ッ!?」
「もー、なんでもいーですよ……。ああ、かわいそーな私……」
「ア、アルトォッ!?」
「あ――の――…………」
 みんな不満そうだ。
「当たり前じゃあぁっ!! 変な組み合わせしやがってぇっ!!」
 自分でくじを作っておいて、とんでもない言いがかりだ。
「おぉぃ!」
 くじですから! 別に仕込とか八百長とかないデスカラー!
「ちくしょー!!!!」
 複雑な気持ちのメンバーたちだった。
 さ、早く行った行ったぁっ!!
「ケッ。わぁったよ。行きゃいーんでしょ、行きゃー。私、真ん中ね」
 イジけたマニュアをよそに、みんなは1歩を同時に踏み出すことにした。
「だぁっ!! 無視ぃっ!? まぁもーいーけど……。じゃあ……せーのォ!!」
 タンッ!!
 みんなが同時に足を踏み込んだ。……特になにも起こらなかったようだ。
「だあぁっ。助かったぁぁ……」
「はあぁ〜。本当、よかったぁ……」
「でも……、これって、このまま進めってことだよな……」
「仕方ないや……。もぉ、GOだ! GO!! また、あの未来を繰り返さないためにも……! あ、ただ……!」
 マニュアはもう誰の姿も見えないホールの方をくるりと振り返って、声を上げた。
「絶対……絶対、無事にまた後で会おうね!!」
 その声は他のみんなに届いたのか届かなかったのか――特に返事もなく、そのまま部屋へと掻き消えた。
 ――こうして、2人ずつに分かれた9人と1匹――5組は、そのまま道の奥へと進み、やがて見えなくなった。
 彼らの運命やいかに!? 次回へと続くぅ――!
「嘘をつけ、嘘をっ!! まだあと1ページあるわぁっ!」
 スパ――ン!!