グローリ・ワーカ   第16章:Live or Die

 さて、それと同じころ。話に出てきたキリオミは――?
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!! っス!」
「うわっ! 古ッッ!!!!」
 そんなキリオミの姿を見て汗だくになっているのは――ヤン&アリスペアだった。
「え、えぇ〜……っと、あなたは……たしかぁ……?」
「キリオミっス!」
「「やっぱり、キリオミッ!!」」
 なんだかんだで覚えられていたキリオミ。
「で、俺はヤンだ」
「私はアリス……」
 なんとなく名乗る2人だった。
「よろしくっス。ちなみに、オイラは四天王の1人っ! 風の使い手っ!!」
「えぇっ!?」
「風……だと!?」
「そーっスよ」
 キリオミはさらりと答えた。
「おまえ、魔族だろ? 魔族のくせに四大元素の力を使うんだな」
「そういえば、ホワさんが前に言ってたね。魔族は呪法を使って、そのほとんどが死や破壊の力……なんだっけ?」
 アリスが頭の隅から思い出しながら口にした。それにヤンは頷き、
「そういうことだ。呪法は幻獣が司る死、破壊の力。でも、中には四大元素なんかを司る幻獣もいると」
「そ、そーっス。よく知ってるっスね……」
 頭がいいペアですから。
「って、もしかして、ここに四天王の1人がいるってことは……他のところにもか?」
 ヤンがはっとして尋ねると、キリオミはにやっと笑って答えた。
「そのとおりっス! さっきからなかなか賢いっスね!」
 鋭い指摘に感心している。
「えっ!? じゃあ、アルトたちのほうにも!?」
 むしろ先ほど中継してきたばかりである。
「なぜ俺たちをバラバラに分ける必要が? お前たちだってそれなりに人数いるし、強いんだろ? 一緒に戦っても同じじゃないのか? 分かれたって、結局こっちのほうが人数多いし」
 ヤンがさらに尋ねた。
 キリオミはそれにも丁寧に答えてくれた。
「そーっス。オイラたちは強いっスよ。1人につき2人くらいなら余裕っス! ――そっちは7人で勇者なんっスよね? だったら7人集まって変な技を使われるよりはバラバラにしたほうがよっぽどいい! ――という魔王様の提案っス!」
「なるほどな」
 その答えに、用心しなければいけないかもしれないな。とヤンは思った。
 アリスは不安になってしまったようだ。
「み、みんな無事なの!?」
「さぁ? どーっスかね? それよりも、自分達の心配をしたほうがいいっスよ! ストーム ブラスト!」
 キリオミが腕を振り上げて呪法を唱えた。その直後、すべてを消し去るような爆風が巻き起こった!
 ヤン&アリスVSキリオミ、一方的に始まり!