グローリ・ワーカ   第20章:最終決戦

「ちょっと待ちなさいよ!! 私たちはどーなるのよ!!」
 すっかり忘れられていた、やっぱりギャグキャラである四天王のうちの1人、ミンミンが額に青筋を浮かべながら怒鳴った。
 トンヌラとトリヤスもこっちを睨んでいる。キリオミはなぜか寝ている!
「――……キリオミ……。もうホントに、こいつ、ヤダ!!」
「ヤダって……」
「ア、アリちゃん……?」
 アリスの言葉に、アルトとティルはしばし汗だくである。
「ヘイズル……。俺が倒された後、なにかあったか?」
 ヤンが尋ねる。
 アリスは身震いをしながら愚痴った。
「もー、サイアク。思い出しただけで寒気が……!」
 と、その言葉に、
「なーに言ってんのよ!! あんたの顔の方がよっぽど寒気するわよ!」
 ミンミンが反応して、アリスの顔に指を突きつけた。――ちなみに書いておくが、アリスははっきり言って美人の部類である。ヤンは面食いなのだろう。まぁ面食いなのはちょっと軟派っぽいストームもだが。
「ちょっと待てぃっ!! 俺が面食いってどーゆー意味だぁ!?」
「待て! 俺の軟派っぽいって言葉の方が問題だろーが!」
 本当のことを書いたまでですよ。
「それより、どーゆーことよ!? 私の顔が――って、あっ……!」
 アリスが言おうとした文句が途中で途切れたのは、アリスがミンミンの気持ちに気付いてしまったからだ。
 それに、アルトも口を出す。
「そういうことらしいです……。ミンミンさん、私たちと戦ってる時も――」
「きゃー! ち、ちょっと! ば、バッカじゃないのおぉっ!? 私がなんだっていうのよー!?」
 ミンミンが必死に反論(?)する。
 が、その割には顔が――、
「そのパターンやめなさいよっ!!」
「――それより、いい加減にそろそろ本当にバトルを始めないのか!?」
 トンヌラが横から割って入る。その言葉には微かな怒りが込められているようにも感じる。
「い、怒り!? それってどういうこと!? え、えぇっ!?」
「えー? どーゆーことぉ!?」
「あぁ……。まさか、トンヌラくんが好きなのって……」
 ティルとヒナ、アルト、そしてその他女子たちがまたもキャーキャー騒ぐ。
「ちっ、違うっ!! た、ただ! 私は、いい加減にバトルを……っ!!」
 トンヌラが慌てて否定する。
「じゃあ、さっきの怒りはなんだったの?」
 アリスが痛いところを突いた。
「う……! い、いや、それはだな! いつまでもそんな話をしていて、バトルが始まるのがあまりにも遅いからであって……!」
 そうは言っているが、口調がしどろもどろになっている。いつもの冷静なトンヌラとはだいぶ違う。焦りが伝わってくる。
「冷静という割には、前章の終わりでとんでもないことになってたけどなぁ」
「――ハァ……。女の子って、そういう話が好きですよね……」
 トリヤスは深々と溜め息をついた。キリオミの鼻ちょうちんがパチンと割れた。