グローリ・ワーカ   第2章:災難

 3人と1匹は、再び森の中へと戻ってきた。
 しばらくすると、そこへリナもやってきた。
「それじゃあ、こっそりと家のほうに――」
 リナが家まで誘導しようとしたそのとき。
 森の奥をぼーっと眺めていたマニュアが叫んだ!
「……あの……また来てる――――!!」
「え?」
 振り返ると、そこには――
「魔物――――――っ!!」
「ナニィーっ!?」
 さすが、魔物が多く生息する森なだけあって、奥からぞろぞろと現れた。
「うっそー! えーん!!」
 半泣きのティルが魔物を呼び出した。
「まっ、魔物が――空中から……!?」
 リナが驚いて宙を見つめる。そして、今度はティルのほうを見た。
 ティルは、リナに向かって微笑んだ。
「大丈夫です。この子は、仲間」
「な、仲間……!?」
 宙から現れたその魔物は、静かにほかの魔物の前まで行き、手に持っていた赤い杖をかざすと、しばらくしてこう言った。
「どうやら、自分達の領域に侵入されたことに怒っているらしい。だが、そちらがなにもせず戻ると言うなら、こちらもなにもしないということだよ」
「ひ、人の言葉を喋った……」
 ほかの3人はボー然としている。
 魔物達の目がこちらを見て訴えていた。「荒らすな。帰れ」と。
「――ま、まぁ、これ以上戦う必要もないよね? そっちが襲ってこなければ、私達も手なんか出さないし」
 マニュアがティルに尋ねる。
 ティルも頷いて、
「もう戦わないよ。安心して、森の奥へお帰り」
 魔物達に向かって、そう言った。
 ゆっくりと、魔物達は森の奥へと引き返していった……。
「魔物さん、通訳ありがとう! 森の魔物さん達も元気でねー」