グローリ・ワーカ   第8章:攫われた仲間

 さて、ここはイグニスの町の集会所。
 魔物に火を放たれ、少し焼け崩れているがなんとか使うことはできる。
 そこに、町の者たちが数人集まって話をしていた。
 そう、それは、マニュアたちの知らないところで起こっていた。

「やっぱり……そうですかね」
「そうに決まってるだろう。だって、そう言っていたんだろう?」
「いませんでした? そういう名前の人……」
 数人が1人の女性の方に目をやって、答えを待った。
「いましたよ……。うちの宿に」
 女性が言う。
「――『マニュア』という名前の人が」
 他の者たちは頷き、
「やはり、あの人たち……」
「だから、そうだって言ってるだろ! 仲良く話してたって言ってるだろう!」
「はい……」
「では、仕方ないな……」
「分かりました。今すぐにでも、話します……」
「災いは、早く町から追い出さねば」
「しかし、早く終わりましたね……」
「10分くらいかね」
「5分ですよ……」
「さぁーて、家に帰るかね」
「では、さっさと言ってくるんだ!」
「頼むぞ、女将……!」
「はい、分かりました……」
 女性は深く頭を下げると、他のみんなと共に、集会所を後にした。