グローリ・ワーカ   第11章:自分VS自分

「魔王覚悟!!」
 バン!!
 大きな音と威勢のいい声と共に、扉が開かれた。
 まっすぐに敷かれた細長い絨毯の先に魔王の玉座が見える。
 そして、その玉座には、とうぜん魔王の姿があった。
 大きな体を黒いマント、そしてマントの下も黒い服ですっぽりと包み、頭の上にはくすんだ黄金色の王冠が乗っていた。顔はあまりキレイな顔立ちではなく、しかし、老人と言うほど歳も取っていない。ただ、威圧感があった。
「と、とうとう魔王だー……」
「やばくない?」
「なんか、レベル低いのにやって来ちゃった感がヒシヒシとするよね、私ら」
「おいおい。今さらじゃねーか? 俺はここまで来たら倒すぞ」
「まぁいざとなったら逃げよう」
 魔王を前に、逃げ腰の6人だった。
「おいおい、おまえら! 魔王の前でそんな話してるんじゃないよ!」
 魔王のツッコミ!
 魔王にツッコまれる冒険者って、今までにあっただろうか!?
 魔王は咳払いをすると、気を取り直し、
「待っておったぞ、ミリア……。絶対に来ると思っていた……」
「魔王……」
 マニュアは魔王を睨みつけた。
 魔王は余裕の表情で、
「さぁ、ゲームを始めようじゃないか……」
「げ、ゲームだとぉ……?」
 本気(?)のマニュアたちは少しイラッとした。
「くくく……」
「ストームはどこにやったの!?」
 ティルが突然口を挟んだ。アリスも慌てて、
「ヤンも!!」
 その言葉に、魔王はニヤリと笑うと、
「すぐに会わせてやろう……。さぁ、我が下僕たちよ! このバカなやつらの相手をしてやれ!」
「はっ……」
 魔王の言葉に答え、玉座の後ろから2つの影が姿を現した。
 その姿に、マニュアたち全員、目を丸くした。
「!!?? え……!?」
「なっ……!」
「えぇ!?」
 驚いて、その名を呼ぶ。
「ストーム……ッ!!??」
「ヤン――ッ!?」