グローリ・ワーカ   第11章:自分VS自分

 暗い暗い空間――。ここは、マニュアの心の中だった。
 その暗闇に、マニュアとミリアが2人向き合って佇む。
「ミリア……!」
「マニュア……! 私の体、返してもらう!」
 ミリアがマニュアを睨みつけて言う。
 マニュアは慌てて答える。
「あ、あんたの体ってわけじゃないでしょ!」
 その言葉も気にせず、ミリアは続ける。
「マニュア! おまえは私が生んだ人間としての心……! 幼い頃、母に人間界を教えてもらい、そして生まれた人間界を守ろうとする心……。でも、私は魔族だ! 魔族のため、おまえには消えてもらう!」
 そう。マニュアとは、人間界で暮らす時に名付けられた名前である。
 だが、それとは別に、幼い頃に人間界を知ったミリアが生み出した、もう1つの魂でもあった。
 つまり、マニュアは人間としての心、ミリアは魔族としての心ということだ。
「マニュア……! 今こそ戦いの時……!」
 ミリアが身構える。
 マニュアも身構えて、言った。
「私は負けないからね! 私は人間界を守る心! つまりは、善の心だもん!」
 自分で言うか。
 ミリアはフッと笑うと、
「悪が負けるとは、限らないよ……!」
 2人は手を相手に向かって翳すと、同時に呪法を唱えた!
「「ブラッド マーダー ダークネス アタック!!」」
 バチバチィッ!!!!
 辺りに閃光が走り、呪法がぶつかり合い、小さな爆発が起きる。
 2人とも、続けざまに呪法を放つ。
「エイク アビリティ アゴニー フィア デス!」
「ダークネス ナイトメア ディスペア ルーイン アクション!」
 ドンッ!
「ぐわっ!」
 その威力に吹き飛ばされたのはマニュアだった。
「くっそー……! やっぱりミリアのほうがパワーが強かったりするのか!?」
 マニュアのピーンチッ! いや、むしろ、人間界のピーンチッッ!?