グローリ・ワーカ 第13章:不安
「あなたたちの旅ももうここで終わりよ!」
ミンミンが声を荒げた。マニュアたちに向けて、戦闘の態勢を取る。
「ど、どうするのぉ!?」
ティルがマニュアを見て困ったように声を上げた。
マニュアは顎に手をあて考えるポーズを取る。
現在のマニュアの頭の中には、RPGの戦闘コマンドが浮かんでいたという。
『攻撃・呪法・防御・道具』。そして――、
「コマンド! 『逃げる』!!」
――マニュアは、逃げるを選択した。
「みんな! 逃げるよっ!」
「「「えぇぇぇぇ!?」」」
「倒さねーのかよ!」
驚きの声と不満の声が上がる。
マニュアは仲間の方を振り返り、
「アルトちゃんを助け出すっていう目的は果たしたんだし、今回は撤退だ! つか、もうちっと作戦練ってから来ようぜ!」
その言葉に、納得してかは分からないが、全員頷いた。
それと同時に扉に向かって走り出す。
「しまった! 皆の者! ミリア姫が逃げるぞ! 捕まえろ!!」
トンヌラがそう叫ぶと、どこから出てきたのか、兵士の格好をした魔族が何人か現れマニュアたちを追いかけ始めた。
こうして追いかけっこが始まったのだった……。
「ちょ、ちょっと! 追いかけてきますよっ!」
「いやいや、それよりも……みんな、ちょっと待ってよ――っっ! 足速いよー!!」
仲間たちは既に扉をくぐるところだったが、マニュアだけまだ扉まで辿り着けていなかった。
「「「「あんたが遅いの!」」」」
「はぁ……」
仲間たちのツッコミに溜め息を漏らすマニュア。
いやしかし、そもそも扉までそんな遠くもない。
あと一歩で扉をくぐれる! そのときだった。
「マーっ! 後ろっ!!」
「え?」
ガバッ!
「なっ……!? げっ! へ、兵士……!!」
マニュアの肩・腕はがっしりと捕まれ、逃げようにも身動きは取れなかった。
その兵士たちの手は、ティルや仲間にも伸びようとしていた。
「マーッ……!」
「マニュちゃ……」
マニュアを呼ぶ。
しかし、考えている間はなかった。
一瞬躊躇したものの、みんなその場を振り返らずに走った。マニュアを置いて逃げ出したのだ。
数人の兵士たちはその後ろ姿を追い、残りの兵士たちはトンヌラに声をかけた。
「トンヌラ様。ミリア姫を捕らえました」
「出来れば他の者たちも捕まえてもらいたいものだが……まぁ、いい」
トンヌラがマニュアの方を振り返る。
「ちょっとー! 話してよっ!」
マニュアの抗議になど耳を傾けず、トンヌラは笑った。
「残念ですね。お仲間に逃げられてしまって。所詮、あいつらは人間。魔族など裏切る――といったところでしょうか」
「くくっ……」
魔王もおかしそうに笑っている。
「……っ!」
反論しようにも、声の出ないマニュア。
傷だらけのシリアは壁にもたれかかったまま、ただその経緯を眺めているだけだった。
その様子を満足そうに見て、魔王は言った。
「ミリアを牢に入れておけ」
「はっ!」
「あなたたちの旅ももうここで終わりよ!」
ミンミンが声を荒げた。マニュアたちに向けて、戦闘の態勢を取る。
「ど、どうするのぉ!?」
ティルがマニュアを見て困ったように声を上げた。
マニュアは顎に手をあて考えるポーズを取る。
現在のマニュアの頭の中には、RPGの戦闘コマンドが浮かんでいたという。
『攻撃・呪法・防御・道具』。そして――、
「コマンド! 『逃げる』!!」
――マニュアは、逃げるを選択した。
「みんな! 逃げるよっ!」
「「「えぇぇぇぇ!?」」」
「倒さねーのかよ!」
驚きの声と不満の声が上がる。
マニュアは仲間の方を振り返り、
「アルトちゃんを助け出すっていう目的は果たしたんだし、今回は撤退だ! つか、もうちっと作戦練ってから来ようぜ!」
その言葉に、納得してかは分からないが、全員頷いた。
それと同時に扉に向かって走り出す。
「しまった! 皆の者! ミリア姫が逃げるぞ! 捕まえろ!!」
トンヌラがそう叫ぶと、どこから出てきたのか、兵士の格好をした魔族が何人か現れマニュアたちを追いかけ始めた。
こうして追いかけっこが始まったのだった……。
「ちょ、ちょっと! 追いかけてきますよっ!」
「いやいや、それよりも……みんな、ちょっと待ってよ――っっ! 足速いよー!!」
仲間たちは既に扉をくぐるところだったが、マニュアだけまだ扉まで辿り着けていなかった。
「「「「あんたが遅いの!」」」」
「はぁ……」
仲間たちのツッコミに溜め息を漏らすマニュア。
いやしかし、そもそも扉までそんな遠くもない。
あと一歩で扉をくぐれる! そのときだった。
「マーっ! 後ろっ!!」
「え?」
ガバッ!
「なっ……!? げっ! へ、兵士……!!」
マニュアの肩・腕はがっしりと捕まれ、逃げようにも身動きは取れなかった。
その兵士たちの手は、ティルや仲間にも伸びようとしていた。
「マーッ……!」
「マニュちゃ……」
マニュアを呼ぶ。
しかし、考えている間はなかった。
一瞬躊躇したものの、みんなその場を振り返らずに走った。マニュアを置いて逃げ出したのだ。
数人の兵士たちはその後ろ姿を追い、残りの兵士たちはトンヌラに声をかけた。
「トンヌラ様。ミリア姫を捕らえました」
「出来れば他の者たちも捕まえてもらいたいものだが……まぁ、いい」
トンヌラがマニュアの方を振り返る。
「ちょっとー! 話してよっ!」
マニュアの抗議になど耳を傾けず、トンヌラは笑った。
「残念ですね。お仲間に逃げられてしまって。所詮、あいつらは人間。魔族など裏切る――といったところでしょうか」
「くくっ……」
魔王もおかしそうに笑っている。
「……っ!」
反論しようにも、声の出ないマニュア。
傷だらけのシリアは壁にもたれかかったまま、ただその経緯を眺めているだけだった。
その様子を満足そうに見て、魔王は言った。
「ミリアを牢に入れておけ」
「はっ!」